けたるっちの自転車奮闘ブログ

トレーニングとレースとリハビリの記録。

ペダリングの異常

自分を悩ましている運動神経の障害の主症状とも言えるペダリングの異常について。

右脚が下死点を通過して8時から10時の位置に差し掛かった時、急激にかかとがカクンと上がり、ペダルに進行方向と逆向きの力が加わる。

ケイデンスが上がれば上がるほど症状は激しくなり、酷い時には上死点付近で脚が完全にロックしたように硬直しクランクの回転を止めてしまうこともある。

調子の波はあったものの、発症してから8ヶ月間、一度も元どおりになることはなかった。

言葉ではなかなか説明するのが難しいが、動画を見ればその異常さは一目瞭然だ。

 

youtu.be

 

右のペダルが9時前後に差し掛かった時、突然脹脛が収縮してかかとが弾かれたように跳ね上がっている。

神経内科の先生に始めてこの動画を見せた時は、動作特異性ジストニアを疑ったそうだ。
動作特異性ジストニアとは、高度な正確さを必要とする運動を長期間反復することによって起こる神経回路の故障のようなもので、それによってその動作を困難にする不随意運動が起きてしまう疾患のことである。

周りでジストニアを発症したという話は聞いた事はないが、自転車を始めてからの9年間にペダルを回してきた回数を考えると自分がその病気にかかったとしても不思議ではない。

ところが、その後の神経学的検査により、ジストニアでは現れない深部腱反射の亢進、筋トーヌスの亢進(痙縮)が見られたためその可能性は否定された。*1

深部腱反射(しんぶけんはんしゃ、DTR:Deep Tendon Reflex)は、太い骨格筋につながる腱を筋が弛緩した状態で軽く伸ばしハンマーで叩くと、一瞬遅れて筋が不随意に収縮する反射。人体にみられる生理的な反射の代表的なものである

受動運動の最初のみ強い抵抗があるがすぐに抵抗が減じるのを痙縮という。折りたたみナイフ現象ともいう。上位ニューロン徴候のひとつである。痙縮が非常に高度になると抵抗が最初だけではなく持続しrigospasticityと呼ばれる状態になる。下肢の大腿内転筋の痙縮が強いと両下肢が交差してしまい、はさみ脚となる。

 

つまり、ペダルによる足首を受動的に押し上げられる力によって不随意に脹脛が収縮し、回そうとする意識とは逆にクランクの回転に抵抗してしまうのがこの異常なペダリングのメカニズムという事らしい。

深部腱反射の亢進は中枢神経の病気を示唆する現象なのだが、それについてはまた次回。

*1:2016年9月28日にジストニアと診断された。