けたるっちの自転車奮闘ブログ

トレーニングとレースとリハビリの記録。

シューズと伸張反射の関係

今週末は乗鞍もあり各地でレースが盛り上がっていたが、レースどころかチーム練にも参加できない自分はいつも通りのリハビリニュー。

 

土曜日:低回転ローラー練&スイム練
日曜日:低回転ローラーのみ

 

日曜日は子供の自由研究のサポートやらなんやらでほとんど何もできなかった(笑)

 

さて、ここからが本題。

シューズと伸張反射の関係について。

本格的にペダリングの異常が始まったのは昨年の11月末だが、最初に異変を感じたのはその1ヶ月半前の10月10日、いつものなるツルメンバー+竹芝からのゲスト2名で雛鶴〜道坂〜道志道練習に行った時だ。

その時のことは今でもはっきりと覚えている。

最初は普通に走れていたが、10%は軽く超えるような勾配にさしかかった所で急に右足が上死点付近でカックンと引っ掛かるようなぎこちないペダリングになった。

道坂に入って強度が上がると、勾配がきつくなるポイントでその症状が頻発し、やがて右脹脛が攣って集団から千切れた。

メンバーが強力なのできついのは当然なのだが、まだ脚が攣るほど消耗してはいなかっでちょっとショックだった。

シューズを新調して間もない頃だったので、まだ慣れていないせいかなと、当時はその程度に考えていた。

そのシューズとはS-Works 6。

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スペシャ好きの自分にとっては4代目S-Worksになるが、このS-Works 6はそれまでのS-Worksとは全く異なった特徴を持っている。

最も異なるのは踵をガチガチのヒールカップでホールドする構造になっている点だ。

以前のS-Worksは踵が脱げやすいという意見を反映した改良だと思うが、自分にははっきり言って不必要な変更、改悪とも言っていいい変更と感じた。

それとアッパーの素材も以前よりも硬い素材に変わり、ボアダイアルをきつく締めた時のシューズと足の一体感は別次元。

良く言えば極上のフィット感と最高のパワー伝達を併せ持つシューズ。
悪く言えば足の自由が全く効かないストレスフルなシューズ。

残念ながら自分にとっては後者だった。

買った時は嬉しくてすぐにレビューを書こうと思ったが、買って間もなく異変を感じ、そのうちペダリング異常が発生し、最後まで慣れる事はなく今年の4月に使用を止めてしまった。

診断結果も出てペダリング異常の原因もはっきりした今、ようやくレビューを書く気になったという次第である。

もちろん、ペダリング異常の発生原因とシューズは関係ないが、症状の出やすさ、強さとは深い関係がある。

自分を悩ませているペダリングは異常に亢進した脊髄反射(伸張反射が起きやすくなっている状態)が主な原因だが、伸張反射の発生は他動的に筋が伸ばされるスピードと関係がある。

クリートによってペダルに足を固定された上に、S-Works 6のように硬いヒールカップとアッパーで足全体を固めてしまうと、アップストローク中盤に下腿三頭筋とアキレス腱が伸ばされる速度が速くなり、伸張反射が起きやすくなるという訳だ。

自分にとっては問題が大きすぎるシューズだが、正常な人にとってはどうだろうか。

問題は起きないとしても、足には負担の大きいシューズなのではないだろうか・・

ちなみに左足はS-Works 6でも伸張反射は起きなかったのだが、長時間走った後は脹脛や踵周辺の痛みが以前より酷くなったと感じていた。

パワー伝達効率と足へのストレスとのトレードオフ、そんなシューズだと思う。

普段使いや長時間のレースには適さないが、短いレースには威力を発揮する、そんなシューズだと個人的には思う。

 

症状発生の一因がシューズにあると確信するまで半年かかり、今年の4月にS-Works 6にようやく見切りをつけて再びシューズを新調した。

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GIRO EMPIRE SLX.

旧S-Worksと同等かそれ以上にしなやかなアッパー。

そのアッパーを紐で締めるので足全体に自然にフィットする感じ。

踵の素材も柔らかいが決して脱げやすい感じではなく、柔らかく包むような形状。

アウトソールはS-Works 6と違ってフラットな形状で、自然な足趾の角度を維持できる。

また、アウトソールの剛性は高いが極めて薄いので適度にしなる感じがGood。

とにかく、自然な足関節の動きを阻害しないような作りになっていると自分には思える。

そして何と言っても軽い。

これは誰にとっても大きなメリットと言えるのじゃないだろうか。

注意すべき点は、一般的なシューズに比べて幅が狭く縦に長い事。

自分にはばっちり合っているが、足の幅が広い人には注意が必要かもしれない。

シューズに足の形状が合いさえすれば、個人的には一押しのシューズだ。

 

今ではどんなシューズを履いても伸張反射の発生を抑えられえないくらいに症状が進行してしまったが、SLXに変えた当時はそれまでの苦労が嘘のように楽に回せるようになった。

ケイデンスで言えば、それ以前より20回転くらいは上げられるようになった程だ。

 

シューズは言うまでもなく直接身に付ける機材。

剛性やパワー伝達も大切だけど、体に負担をかけない、自然な関節の動きを阻害しないというのも大切なポイントなのではないだろうか。

剛性至上主義で良いパーツもあるけれど、シューズに関しては絶対に違うと断言したい。